脊柱管狭窄症をどう治す-誠快醫院の取組み

腰痛を発症した高齢者が整形外科を受診すると、多くの場合「原因は脊柱管狭窄症です」と言われます。
私が誠快醫院を開業した1991年頃には、腰痛の原因として脊柱菅狭窄症という病名を告げられることはまれで、腰椎椎間板ヘルニアとか脊椎分離すべり症といった病名が普通でした。
いつの間に脊柱管狭窄症が広く診断されるようになったのは、なぜなのでしょうか。
実は隠れた理由があります。
腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインが最初に刊行されたのは2011年で、2021年に改定第2版1)が発行されました。初版の時も今回の改訂版でも脊柱管狭窄症の定義、すなわち診断基準は確立できませんでした。というのは、高齢者の腰椎MRI検査で30%の人にはっきりした狭窄が見られたのに、しびれや下肢痛などの症状を示した人はそのうち20%以下だったからです。
すなわち画像上狭窄(狭くなっている)の存在が症状とダイレクトに結びつかず、画像異常があることをもって脊柱管狭窄症の診断確定とできないのです。
逆に言えば、画像上の異常がなくても臨床症状だけで脊柱菅狭窄症の診断をつけても問題ないこととなり、この病名が頻繁に付けられるようになりました。
患者さんが脊柱管狭窄症と診断されたとき、誠快醫院としての捉え方と治療方針についてご説明します。


1.脊柱管狭窄症の想定原因
上述のように画像検査は診断の決め手にならず、またガイドラインでも脊柱管狭窄症の真の原因が述べられていないので、当院では以下のように原因を想定します。
1)神経根の障害因子となる椎間板や腰椎の変性・変形を促進する骨粗鬆症やコラーゲン代謝障害、加齢が存在する。
2)骨盤のゆがみが存在し、腰部への動静脈・リンパ管循環や神経機能の障害が起きている。
3)障害部位を修復するために必要なコラーゲン、カルシウムといった栄養素の供給が十分でない。
4)運動不足で筋力や心肺機能の低下による骨盤や腰椎の代謝障害があり、変形性腰椎症など脊柱管狭窄の根本的原因が発生する。
これらの要素が複合して作用し、脊柱管狭窄症と診断されるのです。

2.誠快醫院の脊柱管狭窄症治療
上述の原因に対応し、当院では以下の3本柱で治療を進めていきます。
治療の全体像を災害復旧の土木工事になぞらえれば、1)災害現場に通じる道路復旧(骨盤ゆがみ取り)→2)資材(栄養療法)を用意→3)トラックで搬入(有酸素運動)し重機(筋力トレーニング)を使って復旧工事を進める、となります。

1)骨盤のゆがみを取り去るソフト整体SPAT
病名が示す通り脊柱管の狭窄(狭くなっている)が病気の原因ならば、狭窄部位を広げて脊髄の圧迫をなくす減圧手術が有効なはずです。誰しもなるべくならば体にメスを入れたくないのですが、症状を取るためには仕方がないと思われるかもしれません。
そこで本当に手術がマッサージなどの理学療法よりも有効かどうかの調査2)がアメリカピッツバーグ大学で行われました。結果は、術後2年での改善率は手術と理学療法で変わらず、合併症の発症率は手術群が38%だったのに対し理学療法群は11%と少なかったのです。この結果を見る限り、尿失禁や運動麻痺など緊急処置を要する場合を除き、手術を受ける価値はないと言えるでしょう。
理学療法にも何種類かありますが、誠快醫院では院長が開発したゆがみ取り手技療法の「ソフト整体SPAT」で治療を進めています。その作用原理は、障害部位へ酸素や栄養を供給している動静脈や、局所の修復を担う免疫細胞の通り道であるリンパ管循環を妨げている骨盤ゆがみを取り除くことにあります。
片寄った体の使い方や産後の肥立ちで慢性化した骨盤ゆがみを除去するために、理想的には週1回、少なくとも2週間に1回のソフト整体SPAT施術が必要です。こうした頻度で治療を続ければ3ヶ月程度で骨盤のゆがみがなくなり、血液やリンパ液がスムーズに通うようになって障害部位の修復が進み神経機能も正常化して痛みやしびれも軽減していきます。
加えて、循環機能を外から促進する医療機器として交流磁気治療器「ソーケンリラックス」があります。この機器は強力な電磁磁石の働きで体内に交流磁場を発生させ、赤血球内の鉄分を揺さぶることで毛細血管の血液循環を促進します。臨床的なエビデンスとしては、癒合不良で偽関節となった骨折部位の完全治癒症例が昭和大学医学部より報告されています。実際のの使い方としては、通院している治療院などから機器をレンタルしてもらい、一日二〜三回30分間局所に当てればよいでしょう。

2)局所修復機能を高める栄養療法
ゆがみを除去して骨盤の循環を促進しても、局所で傷んだ組織を修復するためには材料が必要です。修復材料としては二つあり、それはコラーゲンとカルシウムです。

①充分なコラーゲンの補充
美肌成分として有名なコラーゲンは、肌だけではなく骨の成分の半分を構成し、軟骨や靱帯、筋肉など運動器系の主要構成材料となっています。そしてこのコラーゲンを生成するためには、ビタミンCとタンパク質という栄養素が必須となります。

*効果のあるビタミンC補充方法
タンパク質はともかく、日常的にビタミンCが不足していると自覚している人は多くないと思います。しかし、元々人間にはビタミンCを合成する能力がないうえに、近年の野菜・果物の栽培方法の変化で食品中のビタミンC含有量は激減しています。コラーゲンの合成に必須の補酵素であるビタミンCが不足するとコラーゲンの合成速度が低下し、骨や軟骨、筋肉、靱帯、血管などの修復に必要なコラーゲン補充が追いつかなくなります。
では、不足しがちなビタミンCはどうすれば十分量を摂取できるでしょうか?
食材を工夫するのも一つの方法ですが、上述の様に食材中のビタミンC含有量が激減しているので現実的ではありません。ハイシーなどのサプリメントで摂る方法もありますが、下に示した実験結果で分かるように3時間しか血中濃度を保てず効果が期待できません。


食品からもダメ、サプリメントからもダメだとすればどうすればよいのでしょうか。そうした難問を解決できる画期的なビタミンCサプリメントが岡山大学薬学部山本格名誉教授の研究から生まれました。それが「プロビタC(AA-2G)」で、ブドウ糖とビタミンCを結合させた特殊な構造を持ち、摂取後に体内で分解されてビタミンCとなります。その結果血中濃度が長時間安定的に保たれ、12時間後でもビタミンC濃度が高く保たれるのです。

*高齢者は充分なタンパク質摂取を!
近年高齢者のタンパク質摂取不足が注目を集めています。元気に活躍している高齢者に肉好きが多いと報道されていますが、多くの高齢者は経済的・肉体的な困難が増加し、日々の食事が手抜きがちとなります。すると、どうしても炭水化物中心となりタンパク質やビタミンCの不足した食事となることは否めません。
組織代謝に必要なタンパク質量の目安として、体重1Kg当たり一日1gと言われています。例えば体重50Kgの人は一日50gのタンパク質摂取が望ましい、となります。肉・魚・大豆などの高タンパク食材に含まれるタンパク質の割合は約20%とされていますので、合計で一日250gの高タンパク食品を摂ればよいことになります。
高タンパク食で手軽に摂れる食材の代表として卵があります。
卵一個に含まれるタンパク質は約6gなので、一日3個食べれば20g近く摂れます。

②充分なカルシウム摂取
食事からのカルシウム摂取量が不足しているからといってすぐに症状が発生するわけではないので、不足を自覚することが難しい栄養素です。
しかし、不足状態が長期化すると当然ですが骨粗鬆症を招き、腰椎圧迫骨折による腰・背中の曲がりや大腿骨頸部骨折による歩行困難が起きます。高齢者要介護のかなりの部分がフレイルと呼ばれる運動器系障害ですので、骨粗鬆症を予防することは非常に大切です。
では、どうすればカルシウムを十分量摂れるのでしょうか。高カルシウム食品の代表が牛乳でコップ一杯で約200mg含みます。ただ、日本の食文化に牛乳を毎食飲む習慣が乏しく、牛乳だけで一日必要量の600mg〜800mgを摂ることは現実的ではありません。他にもカルシウムを多く含む食品として小魚やゴマなどもありますが、毎日摂ることは難しい面もあります。
結果的に日本人のカルシウム摂取量は厚生労働省の調査3)で一日489mgとアメリカ人の半分程度となっていて、圧倒的に不足しています。
こうした状況では、安価で吸収率のよいカルシウムサプリメントを利用するのが最も現実的と言えるでしょう。数あるカルシウムサプリメントの中で、誠快醫院が推薦しているのがドクター・ユニカルです。この製品の利点としては、手頃な価格と実験に裏づけられた高吸収率があります。一般的なカルシウムサプリメントがアルカリ性であるのに対し、ドクター・ユニカルは酸性なのでイオン化しやすく、胃に優しい上に胃腸で吸収しやすい特性を持っています。
骨粗鬆症発症予防に若い人ならば毎日朝夕1包、高齢者の場合は毎食後の一日3包摂取がお勧めです。

以上のような栄養素に加え、厚労省の国民健康・栄養調査でビタミンB群も健康維持量から約15%不足していることが判明しています。ビタミンB群は栄養素の代謝や神経の働きに必須ですので、チョコラBBなど市販のビタミン剤で補充することが望まれます。

本稿で解説で紹介したサプリメントは誠快醫院でも定価で販売しており、受診患者さんについては栄養療法の一環として医療費控除の対象となります。
ネット販売サイトで定価以下での販売もあるようですが、消費期限の問題や服用方法のアドバイスを得られないデメリットもありえます。購入ご希望の方はinfo@seikai.comまでメールをお寄せください。

3)筋力と持久力を高める運動療法
骨盤のゆがみ取りをして酸素や栄養が障害部位に届きやすい道筋を確保し、栄養療法で修復に必要な材料調達ができても、局所で修復作業が行われなければ根本的改善は見込めません。
そうした修復作業を促進させるのが運動療法です。
運動療法には二種類あります。それは筋力トレーニング(略して筋トレ)と有酸素運動の2つです。筋トレで筋力を増強すればそれを支える骨格を強化し、有酸素運動で心肺機能を向上させれば障害部位に材料を確実に届けられます。
①薬より効果のあるミニマム筋トレ
筋力が低下すると骨格を支える力が不足して骨盤ゆがみのもととなり、動静脈やリンパ管循環や神経の伝達を妨げます。また、筋力低下は骨への刺激不足で骨格の強度不足の誘引となり、骨粗鬆症の発症率を上げます。
しかも筋力を増強するには筋トレ以外に方法はなく、多少のつらさに耐えて実行するしかありません。とはいえ、できるならば最小限のつらさと時間、回数で筋力を増したいのが誰しもの願いでしょう。
近年そうした願いを叶える最適な筋トレ法が開発されました。それが伸張筋トレ(ゆっくり戻し筋トレ)で、誠快醫院ではこの原理を応用し短時間かつ簡単にできる「ミニマム筋トレ」を提案しています。二種類を週に二回、10分程度の筋トレでどなたでも確実に筋力を強化できます。



具体的なやり方は、当誠快醫院ブログ内にある「ミニマム筋トレ」
https://seikai.com/blog/2026/01/04/post-135/
をご覧ください。

②持久力強化に最適なインターバル速歩
持久力強化に必須とされているのがウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。持久力が向上すれば、障害局所に酸素や栄養素がしっかり届き治癒が促進されます。
具体的な運動種目としては、サイクリングや水泳、ジョギングなど各種ありますが、道具や場所もいらずに誰にでもできるウォーキングがお勧めです。
さらにウォーキングのやり方として近年注目を浴びているのが「インターバル速歩」です。信州大学医学部の能勢 博特任教授が開発したインターバル速歩は、早歩きとゆっくり歩きを繰り返す歩行法で短時間で心肺機能が強化できる画期的な有酸素運動です。
心肺機能のみならず、認知症やうつ状態、高血圧、高血糖、骨粗鬆症などの改善効果も確認されている素晴らしい有酸素運動です。
具体的なやり方は、当誠快醫院ブログ内の「インターバル速歩」
https://seikai.com/blog/2026/06/20/post-240/
をご覧ください。

出典;
1)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021改訂第2版 南江堂
2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25844995/
3)令和5年(2023年)厚生労働省 国民健康・栄養調査

2026.7.1改訂