白内障眼内レンズレーザー手術体験記
- 2025.07.06
- 医療
- #白内障眼内レンズ手術体験記
高齢化の進展と共に白内障に悩む人も増え、年間150万例以上の眼内レンズ手術が行われていると推定されています。そろそろ手術を受けようか、と考えている人に向けて筆者の眼内レンズレーザー手術体験記をお送りします。
○視界がかすみ、運転に不安を感じた日々
70歳を過ぎた頃から、明るい電球の周囲がにじんで見えるようになり(いわゆるハロー現象)、視野全体が白っぽくかすんでしまう「霧視」も顕著になってきました。特に夜間の運転時はその影響が大きく、慎重に、ゆっくり走ることしかできません。運転が好きだった私にとって、この変化は大きなストレスでした。
追い打ちをかけたのが2023年夏の運転免許更新時に右眼の視力が基準に達せず、かろうじて両眼視力で合格という状態です。このままでは次回の免許更新は通らないと確信し、ついに眼内レンズ手術を本格的に検討し始めました。
○徹底調査から見えた4つの重要要素
眼内レンズ手術は、基本的に「一発勝負」。やり直しは原則不可能です。元来慎重な性格に加え、職業柄あらゆる医学的選択に根拠を求める私は、調査に本腰を入れました。
調べていく中で、手術の成否を左右する4つの要素が明らかになりました。
それは、
1)手術担当医の熟練度
2)使用するレンズの種類
3)レンズ度数を決定するための検査精度
4)手術方法の選択(メス or レーザー)
以下、それぞれの詳細を紹介します。
○手術成功の鍵となる4要素の詳細
1)手術担当医の熟練度
眼内レンズ手術は、直径約10mmの角膜と水晶体嚢に対して極めて精密な操作を必要とします。そのため術者の手術経験数が、熟練度を判断するうえで最も信頼できる指標です。私は地元大井町齋藤眼科さんの紹介で、累計約万2症例という実績豊富な院長が執刀をしている等々力眼科(東急大井町線・等々力駅近く)を選びました。
2)レンズの種類
選択肢は主に以下の3つ:
*単焦点レンズ
ピントが合う距離は1点のみ。健康保険適用で手術費用が安価かつ、にじみ(ハロー)やぎらつき(グレア)が少ないのが利点です。
欠点は、設定距離以外ではメガネが必要なこと。
*多焦点レンズ
2〜3箇所にピントが合う構造で、メガネ不要が魅力的。ただし光が急に折れ曲がる回折(かいせつ)によりハロー・グレアが起きやすくなります。
*焦点深度拡張型レンズ(EDOF)
ピントの合う位置が滑らかに変化する構造を持つレンズ。私が選んだのは、遠方〜中距離に焦点を合わせたタイプ。特に運転時の視力を重視した選択です。
2025年5月からは乱視矯正にも対応する「クラレオン ビビティ トーリック」が登場し、選択肢がさらに広がりました。ただし、これらは自費診療となるため費用が高額になります。
3)レンズ度数の決定精度
レンズの度数がずれると快適な視界は得られません。等々力眼科では、検査を3回繰り返し、5種類の計算式を用いて度数や乱視度を算出しており、非常に信頼できました。
4)手術方法(メスかレーザーか)
*従来法(メス使用)
熟練医師なら問題なく実施可能で費用も安価。
*レーザー手術
水晶体を包む水晶体嚢の円形切開や水晶体の細断をレーザーで行うため、精度・安全性が向上します。私のように恐がりなタイプには最適。ただし費用は高くなります。
○実際の手術の流れ
手術の3日前から抗菌薬の点眼を開始し、感染予防を行いました。
手術当日は2時間前に到着し、瞳孔を広げる薬を5分おきに数回点眼。手術着に着替え、眼の消毒を経て可動式ベッドに乗せられ、レーザー装置の前へ移動。
レーザー照射の際には、五角形の光輪の中心を30秒間見続ける必要があり、ここが最大の山場です。
その後、水晶体に切れ目を入れて超音波で砕き、吸引し、新しいレンズを挿入。乱視対応レンズの場合は角度の微調整も行います。
手術時間はおよそ15分。
術中、私も一度だけ光を目で追ってしまい痛みを感じました。あらかじめハンカチなどで片目を覆って「正面を見続ける練習」をしておくことをおすすめします。
○術後の嬉しい驚きと感想
術後、視界はまるで30年前に戻ったよう。かすみは消え、ピントも明瞭。運転の楽しさがよみがえり、読書も弱い老眼鏡でストレスなく可能になりました。
一方で、視覚情報が一気に増えたためか、脳が疲れやすく、少し眼を使っただけで眠くなってしまうこともあります。しかし、これは時間とともに慣れていくと予想しています。
最後に
眼内レンズ手術は、費用やわずかなリスクを伴うものの、得られる効果は非常に大きなものでした。今や「眼」については働ける期間が延びたと感じており、これは現役で仕事をしている人にとって、将来への有効な「投資」だと確信しています。
2025.7.7投稿
-
前の記事
「突然の難聴」と思ったら…実は耳垢!? 院長の体験談 2025.03.27
-
次の記事
記事がありません