子宮内膜症の本当の原因は何でしょうか?

 子宮内膜症は生殖年齢女性の約10%にみられる非常に多い疾患で、近年増加していると言われています。
本来子宮内にあるべき子宮内膜の組織が卵巣やダグラス窩(直腸と子宮の間のすき間)に存在し、月経周期と同期して増殖を繰り返します。医学的には多少の遺伝性が認められてる以外は原因不明とされています。
 症状は、月経痛、性交痛、排便痛などの痛みと不妊で、不妊女性の4〜5割が子宮内膜症を持っているとの報告もあります。特に月経痛は激しいことがあり、当院にいらした子宮内膜症の患者さんの中には、あまりの痛みに救急車を何度も呼んで病院に行かれた方がいらっしゃいます。「こうした激しい痛みがなぜ起きるのか」の説明が残念ながら医学の教科書には書かれていません。そこで、私は正常の状態を研究する基礎医学の生理学や解剖学ならびに当院での臨床経験から子宮内膜症の真の原因を以下のように考えています。

 子宮内膜は本来妊娠のために発達する組織で、妊娠が成立しないと生理が始まり子宮から剥がされて体の外へ排出されます。生理が始まる前には子宮内膜に栄養を送っているらせん細動脈Coiled Arteriole(下図参照)が子宮につながる交感神経の働きで急激に収縮します。この血管収縮により子宮内膜は壊死を起こして剥がれ、膣より体外に排出されるのです。ですから、生理の始まる一週間前くらいから女性の交感神経はらせん細動脈を収縮させるために興奮し、月経前緊張症と呼ばれるイライラしやすい精神的に不安定な状態になるのです。世の男性の皆さんは、訳もなく女性がイライラしたら月経前緊張症が始まったと想像し、腫れ物に触るように接しましょう!冗談?はさておき、こうした自律神経、特に交感神経と子宮内膜との関係を理解した上で子宮内膜症が発生するメカニズムを解説しましょう。


  子宮解剖図

 現代社会で人は交感神経を緊張させるような刺激に常にさらされます。私がサラリーマンをしていたパソコンのない遠い昔(昭和40年代)にはオフイスの仕事は手書きの書類や図面が多く、今だからいえますが「仕事のふりをしている」ことも可能でした。しかし、パソコンが一人一台となった現代では仕事をしているかどうかが外見的にわかりやすくなってしまいました。そうした環境では常に仕事にせき立てられる精神状況となり、加えて成果主義や非正規雇用の増加など雇用に対する不安感も強くなっています。こうした社会条件では人は常に精神的に緊張した交感神経緊張状態に置かれます。女性においても条件はまったく同じで、むしろ社会的に活躍している女性ほど交感神経が緊張する機会は多いかもしれません。

 日常的に交感神経緊張状態に置かれた女性は交感神経が疲れ果て、生理前に交感神経が緊張し子宮内膜を剥がすらせん細動脈を締め付けることが不十分となります。締め付けが不十分だと子宮内膜とその下の子宮との連絡が中途半端に残ってしまい、子宮内膜組織が不必要に生き残ってしまうこととなるのです。こうして生き残った子宮内膜が卵管を通じてお腹の中の色々な場所に移動して起こるのが子宮内膜症なのです。移動する場所は、卵管のすぐそばにある卵巣や重力の関係で下に落ちてダグラス窩 (直腸と子宮の間のすき間)になりがちです。すなわち、私が考える子宮内膜症の真の原因は下図赤線に示すように持続的な交感神経緊張状態で、そうした状態を作り出す体質や仕事、家庭、生活環境からくるストレスなのです。

   月経周期と交感神経レベル

本当の原因が交感神経緊張状態として、どうすれば子宮内膜症がよくなるのでしょう。

 子宮内膜症の本当の原因が持続的な交感神経緊張状態とするならば、子宮内膜症を根本的に治すには持続的交感神経緊張状態をなくすしかありません。もちろん、既に子宮以外の他の場所に移動した子宮内膜組織を内視鏡手術などで取り除くこともときには必要となります。現実にはこうした治療をした場合でも術後に再発を繰り返すことが多く、その理由は真の原因である持続的な交感神経緊張状態が解消されていないからだといえます。

 そこで繰り返しますが、子宮内膜症を根本的に治すには持続的交感神経緊張状態をなくせばよいのです。その方法は、大別して1)日常的に交感神経の緊張をゆるめることと、2)月経時に交感神経がしっかり働けるよう鍛錬すること、があります。そして生活習慣見直しにより二つの方法を実行すれば根本的によくなるのです。
以下に具体的な方法を箇条書きします。

1)日常的な交感神経興奮レベルを下げる
 ① リラックス呼吸
 ② スマホやパソコン、興奮を高めるテレビ番組などの視聴を減らす。 (特に就寝前2時間以内)
 ③ 職場や家庭などの人間関係ストレスを減らす。 (アドラー心理学、仏教哲学など)
 ④ 喫煙者の禁煙

2)月経時に交感神経がしっかり働けるように鍛錬する
 ① 週に2、3回のサウナ
 ② 一日おき程度の顔面お湯漬け
 ③ 死の恐怖を感じるような何らかのスポーツをする。
  例:マリンスポーツ、ボルダリング、スカイダイビングなど
 ④ 週に2回程度のヒートショックプロテイン入浴
 ⑤ 骨盤ゆがみ取りSPATによる子宮への交感神経伝導改善
 ⑥ 緩急のはげしいインターバルウオーキング(→ジョギング)
 ⑦ 週に2回程度の筋力トレーニング

ただ、こうした自律神経のバランス回復法が効果を見せ始めるのに最低一ヶ月かかり、体質が変わって激しい生理痛が起こらなくなるのには1〜2年かかります。その間激しい生理痛を我慢するのはつらいので、消炎鎮痛剤の効果的な使用法や子宮収縮を抑制し痛みを取る薬剤「ズファジラン」などを使い、何とか救急車を呼ばずに我慢できるように維持することも必要です。
上記生活習慣見直しの実際のやり方は、拙著「がんを再発させない暮らし方」や「快腸SPAT」に書いていますが、個人個人の生活環境に応じた最適な改善方法をご希望の方は誠快醫院受診をご検討ください。

当院での子宮内膜症症例

  誠快醫院の標榜科目は内科、整形外科、リウマチ科で婦人科を特に表記していません。従って、当院の症例は来院されている患者さんからの紹介で見えた方がほとんどで、それほど多いわけではありません。その中で印象に残った症例を紹介します。

 数年前に来院した姉妹のお二人は二人とも救急車をしばしば呼ぶほどの生理痛に悩まされていました。当院での生活習慣指導や骨盤ゆがみ取りのSPAT治療、合併感染症予防の治療などを続けた結果、お二人とも生理痛が普通レベルとなり、救急車の要請もなくなりました。

 2年前に来院された患者さんはパニック障害の他に子宮内膜症による激しい生理痛に悩まされていました。生活習慣と骨盤ゆがみ取りSPAT治療、他に頚椎ゆがみ取りSPATも加えたところ徐々に生理痛が軽くなりました。治療開始2年後の現在は、パニック障害発作のみならず激しい生理痛もすっかりなくなるほどに体質改善が進みました。

 この他にも何人かの方がおられますが、一定期間以上の治療と生活習慣改善を実行した方はほとんど改善しています。