肝機能低下予防法

<肝機能低下対策のポイント>

肝臓は、大きく分けて「分解」と「合成」の機能があります。

「分解」の機能の中には、脂肪・グリコーゲン・アミノ酸などの栄養素の分解、体の中で発生した古いコレステロールや蛋白質などの老廃物の分解・排泄、体の外から入ってくるアルコールやタバコ・薬物などの毒素的な物質の分解・排泄、ホルモンや腸内細菌生産物、長時間の筋肉運動による乳酸など体内で過剰に発生した物質の分解等々が含まれます。また、「分解」に関連した機能に栄養素の肝臓内での燃焼や他の器官への供給による体温の維持機能があります。

「合成」の機能の中には、新しいコレステロールやグリコーゲン・アミノ酸・蛋白質の合成、各種酵素・ビタミンの合成・貯蔵、消化液=胆汁の合成・分泌、各種ホルモンの活性化などがあります。

こうした種々の働きを持つ肝機能低下への対策のポイントは、1)肝臓の負担を減らす、2)肝臓へ十分な栄養と酸素を供給する、ことの2つがあります。それぞれについて具体的な対策を以下に述べましょう。

1)肝臓の負担を減らすには

肝臓への負担を減らすには、肝臓が処理をしている過剰な栄養素や老廃物、毒素的物質を減らすことが必要です。過剰な栄養素を減らすには「よく咬んで腹八分目」の原則がなによりも大事ですし、アルコールやタバコ・薬物・乳酸などの毒素的物質を減らすにはそれぞれを正しい方法で行わなければなりません。アルコールと乳酸の発生源となる運動については各々の誠快醫院健康講座の運動の項を参照して下さい。また、薬物は少数の例外を除いて殆ど肝臓に負担となりますので、必要最小限とするのが肝臓には望ましいと言えます。更に、腸内細菌のバランスが崩れて、いわゆる「悪玉菌」の多い状態になりますと腸の中で毒素的物質が発生して肝臓の負担増加となります。腸内細菌の改善には乳酸菌・ビヒズス菌などの善玉菌の補給とオリゴ糖によるその増殖並びに便秘の予防が重要です。また、食事については肝臓の負担が大きい脂肪の取りすぎをしないようにするのが最も効果的です。
肝臓の大きな機能である体温維持機能については、寒冷時の保温や暖房の活用の他に寝る前の「足湯」が睡眠時の体温維持機能の補助として非常に効果的です。足湯については誠快醫院健康講座6の「足湯」をご覧下さい。

2)肝臓への栄養と酸素供給を十分するには

先ず第一に、睡眠時間を十分にすることが大変重要です、その訳は肝臓の循環血液量は立っている状態と寝ている状態では寝た姿勢の方が約1.7倍に増加するからです。血流量が増加すれば肝臓への栄養や酸素供給量が増加し、肝臓の持つ分解や合成の機能が発揮しやすくなります。
同様に、運動することにより心・肺機能を高めることは体全体はもちろん肝臓への血液供給量を確保する上で大切です。どのような運動をどの程度行えばよいかは、誠快醫院健康講座1の「運動について」を参照下さい。
肝臓は細胞の入れ替えによる代謝の大変盛んな臓器ですが、その主要な材料は蛋白質です。良質な蛋白が不足しますと肝細胞の入れ替えに必要な材料が不足し、細胞の入れ替えが十分で無くなります。従って、肝機能低下の人の食事療法は「高蛋白・低脂肪」が原則となります。
次に精神的要素と肝機能の関係ですが、ストレスが多い環境ですと自律神経のうちの交感神経が興奮し、腹部内臓の血流量が低下します。腹部内臓の血液の殆どが肝臓に戻ってきますので、ストレスが肝機能低下に直結します。これを防ぐためには、考えても変え様のないことにこだわってストレスを増さないようにすることや、腹式呼吸や下半身特に足先の保温を図ることにより腹部内臓の血流を増加させるのが肝機能改善に効果的です。
最後にタバコについて触れますが、タバコは血液中の一酸化炭素ヘモグロビンを増加させ、見かけの赤血球数は正常でも実質的に貧血と同じ状態になりますので肝臓への酸素供給を減らします。是非、禁煙・節煙を!

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