風邪と疲労回復に足湯
1)足湯の効果
足湯は、簡単に言えば足だけをお湯に浸けて暖める健康法です。その効果の一番目は、体熱の外からの補給です。人体は一定の体温を維持するために常に熱を発生しなくてはなりません。熱を作っているのは、内蔵では肝臓がもっとも多く、その他では筋肉が多く作り出しています。しかし、筋肉の熱発生のエネルギー源を供給しているのは肝臓ですから、結局のところ肝臓が殆どの体熱生産を担っていると言えます。足湯をすることにより必要十分な熱を外から供給すれば、肝臓がしばらくの間は熱を供給しなくてもよくなり肝機能の余力が生じます。その余力で老廃物の解毒や免疫細胞へのエネルギー供給、脂肪などの栄養素の分解、蛋白質の合成など肝臓の持つ他の機能を高められます。一言で言えば足湯は肝臓によい!のです。
効果の二番目は、下半身の循環改善です。心臓からもっとも遠い足先の冷えによる循環抵抗の増大は心臓に負担をかけ、全身の循環、特に下肢の循環血液量を減少させます。下肢の循環血液量の減少は、下肢に血液を送っている腹大動脈の血流を低下させ、それにより腹部内臓の血液の流れを悪くします。腹部内臓の血流低下は、内蔵の機能低下に結びつきます。足湯は、足先の血管を暖めることにより拡張させ、下肢の循環ひいては下半身とそれにつながる腹部内臓の循環を改善します。もちろん膝の痛みを代表とする下肢のトラブルに大変効果的なのは言うまでもありません。
2)足湯の実施法
内風呂のある人は、風呂の蓋などを利用して風呂桶の端に腰掛け、膝から下をお湯に浸けます。内風呂の無い人は、深めの洗面器やバケツを用意し、その中に足を浸けます。お湯の温度は自分が気持ちが良いと感じる程度とし、浸ける時間は顔がほてるまでとします。よく汗をダラダラかくまで頑張る人がいますが、発汗のために余分なエネルギーを必要としてかえって疲労を高めます。顔がほてり出すまでの時間は、季節やそのときの体調、個人差などで非常に幅がありますので、仲々顔まで暖まらなくても焦らずにじっくり待っていて下さい。足湯を終わる前に足に冷たい水を30秒程度あてると、表面血管が収縮し保温効果が更に高くなります。足湯は、体が暖まった効果を逃がさないうちにすぐに布団に入れる時、即ち寝る前に行うのが望ましいのです。その他に、風邪気味の時は一日数回「足湯→寝る」を繰り返すのも早期回復のために大変効果的です。
copyright Tadashi Kashimada、update 2010/9/6
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