脳卒中のリハビリテーション
脳卒中に罹患したときは脳の一部が壊死をおこし、その部分が司っていた機能が失われてしまいます。壊死した神経細胞(ニューロン)は従来再生能力がないと言われていましたが、最近の研究では僅かながら再生することが判ってきました。しかしながら、たとえ少数の神経死細胞が再生しても脳機能を回復させるには神経細胞同士の回路を組み立てなおさなくてはなりません。一般的には残された神経細胞が必要な機能を代償(肩代わり)して働くようになります。そうした機能回復のためには新しく神経回路を組み直す設計図が必要で、それは残された健全な大脳半球が供給することができます。
具体的な方法は、まず四肢の運動機能については(たとえ麻痺側の動きがなくても)左右の四肢を同時対称的に動かすことが効果的です。例えば、左右の膝関節の曲げ伸ばしを同時に行うなどです。運動の順序は、大きく単純な動きの関節から細かく複雑な動きをする関節へと進めてゆきます。例としては、膝の曲げ伸ばしを最初に行い、次に股関節の曲げ伸ばしを行うなどです。上肢でいえば、最初は肘関節の曲げ伸ばしを行い、続いて肩関節の屈曲伸展動作に移るなどです。手指の運動も対称的に行いますが、かなり複雑な運動なので肘や肩がある程度動くようになってからでも構いません。
言語機能のリハビリとしては、健全な大脳半球の機能を使って障害側に刺激を与えることで効果が期待できます。例えば、左大脳半球(言語脳)が障害されたときは、音楽や絵画機能を持つ右大脳半球の機能を同時に使ってリハビリを進めます。具体的には、演歌などジャンルは問わずご本人の好きな音楽を聞きながら拡大コピーした漢字表記の歌詞カードを見て一緒に歌うことが勧められます。この時は、音としての言語や絵画的な記号としての漢字を右脳が認識し、それを左脳に連絡しながら発声しようとするのです。こうした作業により障害脳が健全な脳からの刺激で学習し、正しい回路を組み立てやすくなります。なお脳機能のリハビリを進めるときには、新たな脳障害を予防し、神経回路回復作業の疲労を取り去るさび止めP・アゼリアル、プロビタCなど抗酸化剤とB群を中心としたビタミンをしっかりとることが非常に重要となります。
copyright Tadashi Kashimada、update 2013/5/18BACK